EPA(自由貿易)を利用するための条件
関税ゼロで輸出入できる制度として「EPA(経済連携協定)」があります。この仕組みみを利用すれば、商品によっては「関税ゼロ」で貿易取引ができます。しかし、この仕組みを誰でも利用できるかというと、そうではありません。
EPAを利用するためには、いくつかの条件があり、それらをすべて満たす必要があります。そこで、この記事では、EPAを利用するうえで必要になる条件をご紹介します。
EPA(関税ゼロ)で輸出入するための条件
2017年現在、日本は16の国々との間でEPA(経済連携協定)を結んでいます。両国の企業は、この制度を使って貿易を行えば、お互いの市場を一つの市場として自社の商品を展開させることができます。しかし、これは決して誰でも利用できる制度ではありません。
「日本企業であればできる~、相手国の企業であればできる~、日本人であればいい~」などはすべて間違いです。次に示す三つの条件をすべて満たす場合に利用できます。「1.貨物が協定を結んでいる国で生産されたものであること」「2.1の条件を満たす証明書を提出すること」「3.貨物が第三国を経由しないこと」です。
これら三つ以外の大前提として、日本とEPAを締結している16か国のうち、いすれかの国からくる貨物、またはいずれかの国へ向けた貨物が対象になります。
それでは、この1から3番を順番に説明していきます。
条件1.貨物が協定を結んでいる国で生産されていること
EPAを適用して貿易を行うためには、第一条件として「貨物が協定を結んでいる国で生産されていること」が必要です。EPAによる生産とは、一般の生産という意味ではありません。ただしく理解すると「商品の原産性の条件を満たすもの」になります。
したがって、仮に日本で生産された商品であっても、原産性の条件を満たしていない場合は、日本で生産されたものであるとは認められず。EPAを利用できません。
条件2.税関に対して原産性を証明する書類(特定原産地証明書)を提出すること
原産性を証明する書類とは、特定原産地証明書(とくていげんさんちしょうめいしょ)です。これは貨物がどこで生産されたものであるのかを証明する書類のことです。この書類をそれぞれの貨物を「輸入する側の税関」に提出します。
例えば、外国の商品を輸入する場合は、外国で作成された特定原産地証明書を日本の税関へ提出します。あなたが輸出者である場合は「特定原産地証明書の発行手順」に従って自ら証明書を取得することが求められます。
条件3.貨物が直送されていること
EPAを適用する貨物は、協定国同士の国を直送されている必要があります。航路の関係上、仕方がなく「積み替え」をする以外は、すべて貨物が直送されなければなりません。これは第三国で何らかの加工をすることを防止するためのルールです。関係がない第三国へ貨物を経由させると、その時点でEPAの効力はなくなります。
また、貨物を積み替えする場合は「スルーB/L」になっていることが絶対的な条件となります。