関税をゼロにする貿易(EPA)のメリットと効果
関税ゼロで輸出入ができる「EPA(経済連携協定)」は、どのようなメリットや効果があるのでしょうか。商品が国境をまたぐとき、関税がかからないのはわかります。しかし、それが具体的は、どのようなことになるのかがわかりにくいです。
そこで、この記事では関税ゼロで貿易する場合のメリットと効果についてご紹介をします。
関税ゼロ貿易のメリット
2017年現在、日本は16の国々との間でEPA(関税ゼロ貿易協定)を結んでいます。この制度をうまく利用して輸出入をすれば、商品によって「関税ゼロ」でやり取りできるものもあります。仮に2017年現在、関税ゼロにならなかったとしても、これから数年かけて関税が徐々に減少していく物もあります。
今、このときの関税だけを考えるのではなく、必ず10年後を見据えるようにすることが大切です。では、仮に商品が関税ゼロで輸出入ができるとして、どのようなメリットがあるのでしょうか。
大きくあげると、次の2点になります。
メリット1.輸入するときに支払う関税を削減または低減できる
メリット2.輸出するときの価格に競争力ができる。
メリット1.関税ゼロで輸入するとき
日本と関税ゼロ協定を結んでいる16か国のいずれかを原産国とする商品を輸入するときは、関税がゼロまたは低減されます。これは、同じ商品を輸入する場合でも「原産国の違い」によって、日本税関で支払うべき関税が異なることになります。
例えば、パイナップルを輸入するとします。(架空のお話です。)A国産のパイナップルとB国産のパイナップルがあります。そして、日本とA国は、関税ゼロ協定を結んでいる場合は、A国産のパイナップルだけ無税となり、B国産のパイナップルは有税になります。
輸入者は、輸入したものを日本市場へ販売するときは、この税関を支払った「関税分を上乗せ」しなければ、その分の儲けが減ることになります。つまり、輸入するときに税関に関税を支払うかどうかだけで、国内販売価格が大きく変わります。
よって、国内販売価格の競争力を維持するためには、輸入時に支払う税関への関税をいかに少なくするのかが重要になります。それを関税ゼロ貿易協定で実現するのです。
メリット2.輸出するときの価格競争力
日本へ輸入するときは、日本側で関税を支払います。一方、輸出するときは、貴社の貿易相手が、相手国の税関に対して関税を支払います。そのため、輸出者であるあなたは、直接関税を支払うわけではないため、関係がないと思いがちです。
しかし、もちろんしっかりと関係しています。もし、あなたが輸出した商品が相手先の税関で関税がかかってしまうと、第三国産の外国商品の競争を行う上で、不利になってしまいます。なぜから、この自由貿易は、決して日本とだけ結んでいるのではないからです。
あなたが輸出する先の国は、日本以外の第三国とも自由貿易を結んでいる可能性があります。となると、第三国からきた商品が無税で流通しているのに、あなたの商品は課税されて流通することになりかねません。
このようなことを考えると、相手国に商品が入ったときに課税されるかどうかは、貴社の商品が相手国での各競争力を持つかに関係することになります。
よって「価格競争力がない=相手国で売れない=貴社の輸出先から注文が来ない→貴社の売り上げが落ちる」ことになります。